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さよなら、おうち 1

先週木曜日にサインをして、5年前に買った愛する我が家と決別しました。
家を建てたプロモーターが買い取ることに、話しが決まったので。

これが私の頭のほとんどを占めている、「悩み」その2です。


実は、我が家は地盤沈下していたのです・・・(号泣)

建築前にプランを買って、完成を待つこと2年。
それに併せて、グラナダ市内からこのコスタ・デル・ソルに越してきました。
とてもとても気に入っていた家。
はじめて、ずっと住むために真剣に家具を選んで、良い電化製品を買って、自分たちの好きなようにリフォームして住み始めた家だったのですが、引っ越してきた当初からなにやら不穏なヒビが壁にうっすら現れていました。
ひび割れの進みは早く、まさか地盤沈下じゃ?という不安を抱えつつ、ヒビを埋める工事を年間に三回もしました。それでもまだまだ割れてくる。
そのうち、くうまの部屋の壁一面が、割れて崩れ、壁端から湿気が入り込んで壁一面がカビに覆われ始めました。
三階の部屋は、一番揺れはばが大きくて、窓が歪んで開かなくなりました。
ひび割れで外が覗けるほど。
一年でそこまでひどいことになりました。

くうまが夜に恐いと言い始めました。
壁の割れ目に飲み込まれるように思えるのでしょう。
確かに私も恐くなるほどの大きな割れ目。
それと共によく咳をするようになりました。
寝る時しか使わなくなったその部屋ですが、寝かせるために扉を閉めたあと、部屋の臭いを嗅いでみたら、恐ろしいほどのカビ臭さ。
胞子で肺をやられてしまう恐れがあるとどこかで読んだことがあるので、すぐさまその部屋を閉鎖しました。
翌日からくうまは、三階の、割れ目はひどいけれど湿気のない部屋へ。
プロモーターに訴えても、調査すらしようとしない。
刻々と家全体にヒビが入ってくる様子に、ある時は涙をこぼしました。
強く押さないと、まったくやる気のないプロモーターに、個人の力ではどうしようもないので、弁護士を雇うことにしました。

三階の部屋の割れ目から、冬の風が吹き込んできて寒くなってしまったので、その部屋も封鎖。
残った部屋は、私達の部屋とサロンだけ。
一つのベッドで3人で寝ることを強いられるようになって4ヶ月。
生まれてからずっと一人で寝ていたくうまは、私達と一緒に寝ることに大喜びでしたが(苦笑)
けれど、寝相の悪いくうまがいると、三人がまともに熟睡できないので、結局毎日どちらかがくうまに蹴り出されてひっそりサロンのソファーに寝にいってました(主にパパ)

スペインの法律で、新築の家には10年保証することに決まっているのですが(ここらへんが、最初からきっちり作ることを諦めている 笑)、保証があると言っても、実際に直す気などまるでなくて、故障箇所の修理を訴えても半年から一年待ちが現状。
現状を見ないふりして、唯一ヒビのないサロンにだけいれば、広くて光に満ちあふれた楽しい空間を過ごせるのですが、夜になると、寝場所が一人分足りないことに暗くなる毎日。
弁護士を通して、地質調査員を雇って独自調査することに。
プロモーター側も地質調査員、設計士などが何度か調べに来ました。
彼らは本当のことは言いません。
沈下してることを認めると、損害賠償をしなくてはいけないので。

やっと調査結果を聞くことができたけれど、それは地盤沈下ではなく、土台設計ミスとの話しでした。
地盤沈下を止めるには1億をかけて高い機械によって、地盤にセメントを注入する必要があるのですが、それをするかどうかの最終決定時にそう言い渡されました。
家に鉄骨をたくさんぶち込んで、支えたら大丈夫というプラン。
素人目に見ても、コストを下げるためのむちゃな案に見えるのだけど、専門じゃないから突っ込めないわけです。

独自にお金を払って雇った調査員はグラナダ出身でした。
プロモーターはグラナダいち羽振りがいい不動産屋。
彼らの話を聞くうちに、グラナダの技術者の世界は力関係が働いていて、力の大きな人間は全部大きな企業に雇われていることに気がつきました。
つまり、プロモーター側の調査員がグラナダで一番実権を握っているということ。
力のあるものに逆らう人間などいるわけはなく。
私達の雇った調査員は、プロモーター側に意見を迎合していきました。
今後の職にかかわってくるのでしょう。

それでも、渦中の中、無知識な私達にはどうしようもない。
家を引き取ってもらってお金にする案もありましたが、その家をとても気に入っていたので、できれば私達も直したかったのです。
とにかく言われる通りやらせてみるしか、方法はなかったわけです。
弁護士代、調査員代、立会証言人代、さらにもう一人の調査員を雇うにもお金がかかる。
しかも、腕利きな奴などアンダルシアにはいないし・・・。

相当な不信感と不安で、結構「暮らす」ということが嫌になっていた私達。
ネット前で夢想にふけることもありました。
「南の島でほったて小屋で暮らしたい・・・」
潰れたって、自分で直せるような家でシンプルに暮らせば、こんな「自分の家に何が起こっているのか、皆目検討もつかない不安」に苦しむ事なんて無いんだろうなぁと。
そういう案から、だんだんヨットを買う構想が固まってきました(爆)
だって、沈むのが当たり前の状態から、沈まないようにするのは、結構単純な仕掛け。
沈むはずのないものが、沈むよりよっぽど恐くない。
複雑になりすぎた世界から抜け出して、自分たちでなんでもできるくらいの規模の世界に行きたいなぁと、地球儀を回しながら船旅のルートを考え、ネットでヨットの値段を調べ・・・。

もちろん、パパの夢でもあったのですが、私のGO出しは、
こういうことが起こらなかったら、なかったと思うなぁ(笑)


長いので一旦切って、パート2へ。
by africaespa | 2005-10-18 20:38 | 母のつぶやき

子供と一緒に楽しむ南スペイン。


by africaespa